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2019 年度 実施状況報告書

メタボローム解析によるアルドステロン産生腺腫の治療標的因子や診断マーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17600
研究機関広島大学

研究代表者

小武家 和博  広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座助教 (80805648)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードメタボローム / アルドステロン / NADPH / 二次性高血圧
研究実績の概要

原発性アルドステロン症の原因であるアルドステロン産生腺腫におけるアルドステロン合成制御の新規標的因子探索のため,アルドステロン合成に関わる細胞内メタボロームに焦点を当てたアルドステロン合成機構の解明を行った.細胞内メタボロームを同定するために,アルドステロン産生腺腫に認める体細胞遺伝子変異であるKCNJ5変異やATP1A1変異を副腎皮質癌細胞株 (HAC15) に導入し,アルドステロン産生腺腫モデル細胞株の樹立を行った.APAモデル細胞株の上清では,遺伝子導入をおこなっていないHAC15 (コントロール) に比較し,アルドステロンが有意に高値であり,アルドステロン合成の律速酵素であるCYP11B2発現も有意に高値であった.さらに,DNA合成量など細胞増殖に関わる代謝活性が上昇していることも示された.次に,これらの細胞における網羅的細胞内メタボローム解析を行った.今回の検討では約900のメタボロームについて同時解析可能である.この結果,APAモデル細胞株において,CYP代謝の補酵素として必要なNADPHが低下していることがわかった.NADPHの供給源は,ペントースリン酸経路,TCA回路,TCA回路-ピルビン酸合成経路などがある.解糖系に関わるメタボロームが広範にわたり低下していることから,ペントースリン酸経路の活性化が示唆された.アルドステロン産生腺腫モデル細胞株において,ペントースリン酸経路が重要な役割を果たすことが考えられた.遺伝子変異を介したアルドステロン合成において,ペントースリン酸経路の活性化がCYP代謝を促進し,アルドステロン合成が促進されることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アルドステロン産生腺腫モデル細胞株の安定樹立,およびメタボローム解析に供するサンプルのデータ安定化に大きな労力を割いているが,細胞株の安定は徐々に得られつつあり,メタボローム解析データも得られている.

今後の研究の推進方策

メタボローム解析結果をもとに,樹立したアルドステロン産生腺腫モデル細胞株をもちいて,NADPH代謝,とくにペントースリン酸経路のアルドステロン合成への関与について,詳細なメカニズムの解明を進めるべく,検討をおこなっていく.また,各種代謝阻害薬の影響や,細胞増殖調節に関わるメカニズムの観点からも,アルドステロン産生腺腫モデル細胞株をもちいた検討により,分子メカニズムの解明を進めていく予定である.

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公開日: 2021-01-27  

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