心房細動の発症と進展には心房の電気的リモデリング、構造的リモデリングが大きく関わっている。治療戦略として現行のガイドラインではカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術が推奨されている。アブレーション治療の成功により、心房の構造的リモデリングからの改善(リバースリモデリング)が観察される。本研究では、心房細動に対するカテーテルアブレーション前後に、構造的リモデリングへの関連が推察される分子マーカー(microRNA、MMPsなど)を末梢血および左房採血にて得られた血中エクソソームより測定・解析し、心房の構造的リモデリングの可逆性について分子生物学的に明らかにすることを目的とした。 心房細動アブレーション治療前後のサンプル収集について100件の予定に対し、アブレーション前採血が81件、アブレーション後6ヶ月採血が48件終了している(2022年3月末時点)。採取した血液サンプルは血清・血漿分離した後、小分注し、-80℃のディープフリーザーに保管している。 パイロットスタディとして、心房細動アブレーション治療後に心房リバースリモデリングが観察された群と心房リバースリモデリングが観察されなかった群の数例の保存サンプルを用い、マイクロアレイにてmicoroRNA発現の網羅的な解析を行った。その結果、心房リバースリモデリングへの関連が推察されるmicroRNAを7つへ絞り込んだ。その後、サンプル数を追加し、RT-PCRにて治療前後また両群間の比較検討を行ったところmiR-184などのいくつかのmicoroRNAが心房リバースリモデリングに関与している結果を得た。
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