研究課題/領域番号 |
19K17610
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小林 雄祐 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (60612629)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ATP2B1 / 動脈硬化 / テーラーメイド医療 / 進化型機械学習 |
研究実績の概要 |
生活習慣病加療中の日本人集団1124名において口腔粘膜細胞から抽出したDNAを用いて、ATP2B1遺伝子のSNPのうちrs11105378を含む12種類のSNPsのタイピングを行い、日本人生活習慣病患者において、ATP2B1遺伝子が治療抵抗性高血圧と関連することが初めて示された。しかしながら、本研究結果を動脈硬化予防のためのテーラーメイド医療の一手法として臨床現場に実装するためには、さらなる追加検討が必要であると考え、本研究によって得られた膨大なデータを進化型機械学習を用いて解析を行っている。本研究では、機械学習の手法として進化型機械学習という、「説明できるAI(explainable AI)」の技術を応用する。医学的知見や知識との整合性を示すことで、医師や患者にとって「分かり易い」機械学習を使用する。具体的には、深層回路を線形回路に変換して星形グラフや説明文で説明する手法(特願2019-137811)によって、最終的な出力を特徴量の線形和の回路に変換するとともに、各特徴量はどの入力変数が関係しているかを星形グラフで分かり易く表示することができる。機械学習で得られた結果を患者に伝える際、例えば「あなたの動脈硬化には、○○の関与が大きいですので、○○に気を付けましょう」などと伝えることができ、アドバイスを効果的に行うことができることに繋がると考えられる。これらの解析によって得られた結果の解釈方法の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で得られたビッグデータを用いた進化型機械学習による追加検討のために、後ろ向き観察研究の倫理審査を改めて行う必要があり、その準備・審査に時間を要した。また、進化型機械学習による追加検討を行うために、他機関との共同研究契約締結を行う必要があったため、その連絡調整に時間を要した。さらに、膨大なデータのデータクリーニング、解析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本研究で得られているビッグデータを用いて進化型機械学習による解析を行い、得られた結果を臨床現場で用いやすいようなアプリケーションとする検討を行う。また、コロナ禍の影響もあり進捗が遅れている基礎的検討や介入研究に関してもそのアプリケーションを用いて行う検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎的検討においてCrisper-Cas9システムを確立する当初の予定がマウスの発育進捗の影響や、コロナ禍の影響により技術習得のための他機関へ出張が困難となっている状況を鑑みて臨床研究に比重を置く方針となり、当初購入を予定していたCrisper-Cas9システム関連試薬を購入しなかったため。
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