研究実績の概要 |
前年度の動物実験より、家族性高コレステロール血症モデルである渡辺遺伝性高脂血症ウサギ(WHHL)では、40keVによる仮想単色X線画像を用いることで動脈硬化病変においてマクロファージに貪食されるCMEADM-Uの集積を同定できることがわかった。またコントロールとなるニュージーランド白色家兎(NZW)では明らかな動脈硬化病変は見られなかったのに対し、WHHLでは粥状硬化性病変を認め、鉄染色であるベルリンブルー染色、マクロファージ免疫染色(RAM11染色)ともに陽性であった。 しかしRAM11染色によるマクロファージ陽性の程度と40keVにおけるCT値間には有意差を認めたが、ベルリンブルー染色におけるヘモデジリン沈着の程度とCT値間には有意差は認められず、さらにDECTの3-material decomposition法を活用しCMEADM-Uの主成分であるiron based map画像を作成した。3-material decomposition法では、CMEADM-Uの異なる濃度(2.5mg Fe/ml, 50mg Fe/ml)をDECTで撮影し、65keVと85keVのCT値を計測することでCMEADM-Uを基準としたIron based mapが作成可能となり、そこからiron based map valueを測定することができる。その結果、ベルリンブルー染色におけるヘモデジリン沈着の程度やRAM11陽性面積とiron based map valueの間に相関がみられ、動脈硬化病変の炎症を表すマクロファージ集積の定量評価も可能であることが示された。 USPIOは既にヒトへの投与が報告されており、冠動脈評価が可能なDECTでその集積を評価できたことは冠動脈炎症に対するnoninvasive分子イメージングとして早期の臨床応用への期待が高いと考えられ、現在論文投稿中である。
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