本研究では副甲状腺ホルモン(PTH)が肺高血圧症(PH)に対して臓器連関を有するか検討を行った。臨床検討でPH症例の血中PTHを測定したところ、PTH濃度は肺血行動態と相関関係を認めた。基礎検討ではPTHの制御が肺血行動態に与える影響を検討し、低酸素誘発PHマウスにPTH投与を行ったところ右室負荷が増悪、一方Sugen/Hypoxia PHラットに副甲状腺摘出術を行いPTHを低下させると右室負荷が軽減した。またPTH受容体は肺動脈平滑筋に多く存在し、細胞実験でPTHは肺動脈平滑筋細胞に、直接作用を有する事が示された。以上の結果からPTHの制御は新規PH治療戦略への応用につながる事が期待される。
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