研究課題/領域番号 |
19K17629
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
垂井 愛 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (40727749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 炎症性呼吸器疾患 / 肺線維症 |
研究実績の概要 |
本研究では、呼吸器炎症性疾患においてmTORが果たす役割について解析することを目的とする。mTORの活性型変異を用いることで、これまでの研究では解析できなかったmTORの直接的な作用を検証する。まず、肺上皮特異的mTOR活性型変異マウスの表現型を解析した。このマウスでは、ブレオマイシン投与による肺線維症が増悪することが示され、その機序としてZO-1やCav-1の発現低下に伴うtight junctionの脆弱化およびそれに伴う肺上皮のEMTの促進が関与する可能性が考えられた。また、mRNAのNGS解析により、Angptl4が肺線維症の病態に関わる新たな因子である可能性が示唆された。これらの結果の一部について、ERS International Congress 2019にて口頭発表を行った他、論文として発表を行った。Saito M et al. Active mTOR in Lung Epithelium Promotes Epithelial-Mesenchymal Transition and Enhances Lung Fibrosis. Am J Respir Cell Mol Biol. 2020 Mar 25. doi:10.1165/rcmb.2019-0255OC. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 32208980. 呼吸器疾患マウスモデルにおけるmTOR活性の変化の解析に関しては、所属施設でのマウス実験が施行できない状況となり、中断となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、マウスの新生仔が親に食殺される事例が多く、繁殖に時間がかかったことが挙げられる。さらに、2019年秋から冬にかけての研究室の移転と、COVID-19流行に伴う研究室への出入りの制限があったため、研究活動が大幅に制限された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画のとおり、マウスのCOPDモデルやBAモデルにおけるmTOR活性化の変化を時系列的に解析し、mTORの関与が大きいと考えられるマウスモデルについては、mTOR阻害剤であるrapamycinの投与を行う。また、肺上皮特異的mTOR活性型変異マウスを用いた解析も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
主としてマウスを用いた研究の遅れが生じたため、マウス飼育費用などが予定よりかからなかった。翌年度は、当初の研究計画と合わせて、今年度の遅延分の研究も行う方針である。
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