びまん性肺疾患は一般の呼吸器科医には診断が困難なことが多い上に予後不良な群が含まれる一方,精度の高い診断を行える専門医が少ないため,人工知能(AI)による精度の高い診断システムと予後予測システムの開発,及び開発に必要な大規模なデータベースが望まれてきた. そこで、本研究では令和元年度と令和2年度に,全国のびまん性肺疾患の系統だった疾患データを蓄積してデータベースを構築し,AI診断に適したデータ変換を行った.さらに,びまん性肺疾患の診断AIを構築し,単施設データで作成された診断AIモデルと同等の精度を達成した.加えて、予後情報に対してディープラーニングと機械学習を組み合わせ,精度の高い予後予測AIを構築した.構築した予後予測AIを応用し,個々人での治療効果予測を可能とするアルゴリズム構築を達成した.このアルゴリズムにより,臨床情報からの個別化医療への道筋を示した.令和3年度に、作成したびまん性肺疾患診断・予後予測AIを広く前向きに使用するための解析を行った.また、当初計画には無かった非専門施設でも使用可能なインプットデータに対応する必要性が出たため,専用ワークステーションを購入し、構築済みの診断・予後予測AIの再構築を行った.令和4年度では、広く一般で利用可能できるPaaS(Platform as a Service)対応と実装化プロトタイプを構築した. 以上から、本研究の全体計画における目標「びまん性肺疾患の臨床情報・画像データのデータベース構築と,精度の高いびまん性肺疾患診断・予後予測人工知能(AI)開発」を達成した.
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