研究課題/領域番号 |
19K17640
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
美園 俊祐 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (30837779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 分子細胞呼吸器学 / 肺癌 / microRNA |
研究実績の概要 |
小細胞肺癌は、初期治療には良好な治療反応を示すが、その多くの症例で、再発や遠隔転移を認める。再発や遠隔転移をきたした症例に対する有効な治療法は限定的であり、患者の生命予後は極めて不良である。小細胞肺癌が、治療抵抗性を獲得し、再発・遠隔転移を起こす分子メカニズムを明らかにする事が、本疾患の治療法の開発に繋がると考える。ヒトゲノム解析研究の成果として、ヒト細胞中には極めて多くの蛋白に翻訳されないRNA分子が転写されている事が明らかとなった。機能性RNAの1種であるマイクロRNAは、機能性RNA(蛋白コード・非蛋白コード遺伝子)の翻訳阻害や直接分解によりその発現制御をしている。1種類のマイクロRNAは、数十~数百種類の機能性RNAの発現を制御している事から、マイクロRNAの発現異常は、細胞内の機能性RNA分子ネットワークの破綻を引き起こし、ヒト癌を含む様々な疾患に関与している事が報告されている。申請者は、治療後に遠隔転移をきたし亡くなった小細胞肺癌患者・剖検検体(3症例)から、次世代シークエンサーを用いて、機能性RNA(マイクロRNA、蛋白コード遺伝子、非蛋白コード遺伝子)発現プロファイルを作製した。現在、治療抵抗に至った患者血液検体からエクソソームを分離し、エクソソーム由来のマイクロRNA発現プロファイルを作製している。これらプロファイルの比較から、癌組織・転移組織・エクソソームにおいて高頻度に検出されるマイクロRNAを見出した。本研究では、発現が亢進しているマイクロRNAが、小細胞肺癌の治療抵抗性・再発・遠隔転移に重要な役割を担っていると仮定し、その検証を行う。更に、マイクロRNAを起点として、小細胞肺癌における新規癌促進分子経路の探索を行う。本研究の成果は、治療抵抗性・小細胞肺癌に対する新規治療法の開発に向けて有用な情報を提供できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療後に遠隔転移をきたし亡くなった小細胞肺癌患者・剖検検体(3症例)から、次世代シークエンサーを用いて得た機能性RNA(マイクロRNA、蛋白コード遺伝子、非蛋白コード遺伝子)発現プロファイル、および治療抵抗に至った患者血液検体からエクソソームを分離して得た、エクソソーム由来のマイクロRNA発現プロファイルの作成は順調に行えた。そこから癌促進型マイクロRNAの探索とそれを起点とした機能性RNAネットワークの探索を目的としていたが、癌促進型マイクロRNAの探索に難渋した。そのため、機能性RNA(マイクロRNA、蛋白コード遺伝子、非蛋白コード遺伝子)発現プロファイルから癌組織で発現の亢進している遺伝子を抽出し、その中でMCM family(MCM2、MCM4、MCM6、MCM7)に注目した。遺伝子のloss-of function assayを小細胞癌細胞株を用いて行い、癌遺伝子であることを同定した。また、抗がん剤に与える影響についても解析を行い、抗がん剤(シスプラチン)への感受性を変化させることを明らかにした。また、癌組織で発現が低下しているマイクロRNAを抽出し、その中でmiR-30aに注目して機能解析を行って、癌抑制型マイクロRNAであることを明らかにした。miR-30aの制御する標的遺伝子については解析中である。 また、当初はCRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集を施した癌細胞株の作製を予定していたが、その作製に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
癌抑制型マイクロRNAの探索とそれを起点とした機能性RNAネットワークの探索を継続する。miR-30aの制御する遺伝子の探索はおおむね行えており、データの整理を行って論文にて報告する予定である。 CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集についても可能な範囲で継続していく。
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