研究課題/領域番号 |
19K17641
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
爲近 真也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00638603)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒト化マウス / 急性肺障害 / CD25 / 炎症性サイトカイン / デキサメタゾン / JAK阻害薬 / バリシチニブ |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト化マウスにヒトCD25(hCD25)を刺激をすることで急性肺障害(ALI)が生じるモデルマウスを用いて、hCD25刺激により急性に生じるヒトALI病態の解明を行うことが目的である。hCD25刺激のために、ヒトIL-2(hIL-2)と抗hIL-2抗体(clone 5344)によるhIL-2 complex(hIL-2cx)を使用した。 これまでに、NOGマウスにヒト末梢血単核球(hPBMC)を静注後、day7にPBS、hIL-2cxを腹腔内に投与し、day 14に解剖し、肺に浸潤するhCD4+T細胞、hCD8+T細胞のヒト炎症性サイトカインの産生に関してフローサイトメトリーを用いて検討し、デキサメタゾン(Dex) 5mg/kg/日をday 9-13まで腹腔内に投与し、NOGマウスのALIに対する影響も調べた。その結果、hIL-2cxにより、肺に浸潤するhCD4+T細胞でのhIFN-γ、hIL-4、hTNF-αの産生、hCD8+T細胞でのhIFN-γ、GM-CSFの産生の有意な増加を認めたが、Dexにより有意な改善を認めなかった。さらに、PBSと比べて、hIL-2cxにより有意にヒト化マウスの生存率の低下や、day 14での肺病理にて肺炎像を認めたが、どちらもDex投与では有意な改善を認めなかった。 そのため、本年度は、Dexに加えて、複数のサイトカインを抑制することができるマルチターゲット製剤であるJAK阻害薬をヒト化マウスに経口投与させ、ALIへの影響を検討した。JAK1/2阻害薬であるバリシチニブ(BARI) 10mg/kg/dayをday 9-13までDexに併用して投与したところ、hIL-2cx群と比べて、有意に生存率やday 14での肺病理が改善し、T cellでのGM-CSFの産生が低下が低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、ヒトPBMCをNOGマウスに移入後、ヒトIL-2(hIL-2)と抗ヒトIL-2抗体(clone 5344)によるヒトIL-2 complex(hIL-2cx)を投与し、その後、急性肺障害(ALI)が生じたマウス肺に浸潤した細胞をFACSや病理にて討することで、ヒトCD25刺激により急性に生じるヒトALI病態の解明を行うことを目的としている。 本年度は、PBS、hIL-2cxのヒト化マウスの肺における影響や、ステロイドであるデキサメタゾンに加えて、JAK1/2阻害剤であるバリシチニブ併用の効果を検討したが、試薬やマウスの納入遅延などもあり、解析に時間がかかったため、少し予定よりも遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ステロイドであるデキサメタゾンに加えて、JAK1/2阻害剤であるバリシチニブ(BARI)併用により、予後が改善し、肺病理も改善したため、BARIによるALI病態への効果をさらに詳細に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、ヒトPBMCをNOGマウスに移入後、ヒトIL-2(hIL-2)と抗ヒトIL-2抗体(clone 5344)によるヒトIL-2 complex(hIL-2cx)を投与し、その後、急性肺障害(ALI)が生じたマウス肺に浸潤した細胞をFACSや病理にて検討することで、ヒトCD25刺激により急性に生じるヒトALI病態の解明を行うことを目的としている。 本年度は、PBS、hIL-2cxのヒト化マウスの肺における影響や、ステロイドであるデキサメタゾンに加えて、JAK1/2阻害剤であるバリシチニブ併用の効果を検討したが、試薬やマウスの納入遅延などもあり、解析に時間がかかったため、少し予定よりも遅れてしまったため、使用額が少なかった。 次年度は、hIL-2cxにより生じたヒト化マウスでの急性肺障害を、Dexにバリシチニブを併用することで、ある程度抑制することが分かったため、バリシチニブによる効果を詳細に検討するにあたり、その解析費用に残りの科研費を使用する予定である。
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