研究課題
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は気流閉塞を特徴とする肺疾患であり、主な自覚症状は、咳嗽、喀痰、労作時呼吸困難である。なかでも労作時呼吸困難の進行は、日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)に影響を及ぼし、生命予後を悪化させる。COPDには、様々なフェノタイプを認めるが、COPDの中に呼吸不規則なフェノタイプが存在し、その一群では労作時呼吸困難を自覚しやすく、健康関連QOLが損なわれているのではないかと考えた。本研究では、COPD患者の呼吸リズムと労作時呼吸困難や健康関連QOL、増悪との関連を検討した。Respiratory inductance plethysmography(RIP)を用いて、15 分安静時の呼吸波形をモニタリングし、得られた呼吸波形から一呼吸毎の一回呼吸時間(吸気時間+呼気時間)、一回換気量の変動係数(標準偏差/平均×100)を算出し、呼吸不規則性指標とした。変動係数はばらつきの指標であるため、呼吸に関して変動係数が高値であれば呼吸が不規則であることを意味する。結果、呼吸不規則性指標が大きい(呼吸が不規則な)患者は労作時呼吸困難をより認め、健康関連QOLも損なわれてことがわかった。また、呼吸不規則性指標が増悪の予測因子であることも示唆された。
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