研究実績の概要 |
ヘマトキシリン・エオジン染色された病理標本を評価し,単一の組織型よりなるpure SCLCとNSCLCが混在するcombined cSCLC (cSCLC)について適切な対象症例を選定した. 次に,cSCLCのFFPE組織を薄切し,神経内分泌に関わるSCLCマーカー (CD56, synaptophysin, chromogranin A) ,NSCLCの各マーカー (NapsinA, p40, p63),さらにpure SCLCにおいて不活性化が重要であると言われているRB1などの免疫組織化学検査を行い,各タンパク発現の有無や強度,細胞内局在について評価した.その結果,cSCLCにおいて,SCLC成分でSCLCマーカーが陽性であり,NSCLC成分でNSCLCマーカーが陽性であったが,両方の成分においてRB1がいずれも陰性であり,cSCLCの進展においてRB1陰性であることが重要である可能性が考えられた.さらに,cSCLCにおける腫瘍進展の機序を検討するため,cSCLCのFFPE組織より各組織型成分毎にDNA,RNAを抽出した.まず,pure SCLCとの関与が知られているASCL1,BRN2,NF1Bについて,cSCLCの各組織型成分ごとにRNAよりRT-PCRを行いmRNA発現解析行った.その結果,ASCL1の発現がSCLC成分においてNSCLC成分に比べ高値であった.以上より,cSCLCにおける混在する組織型の差異にASCL1の発現が関わっていることが示唆された. また,抽出したDNAから,組織型成分ごとにターゲットパネルを用いた次世代シーケンサーによる肺癌関連特異的遺伝子変異解析を行った.cSCLCの腫瘍進展機序について関わる遺伝子変異について,現在結果をまとめている.
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