研究課題
若手研究
これまでに色々な遺伝子変異を持った肺癌に対する治療法が開発されてきたが、KRAS遺伝子変異を有する肺癌の治療法は確立されていない。私達は、DNAから蛋白が作られる際の中間物質であるRNAに対する治療薬としてmicroRNAに注目した。これまでに開発してきたmiR-4689, MIRTXの効果を検討し、さらにKRAS変異肺癌で低下しているmicroRNAを網羅的に探索し、その中から最も良くKRAS変異癌に効くmiR-329-3p を同定した。
呼吸器内科
MicroRNAは22塩基程度の短いRNA鎖であり、メッセンジャーR N A(mRNA)の3’UTR(非翻訳領域)に結合して、mRNAの蛋白への翻訳を阻害する。今回、我々が新たに見出したmiR-329-3pは低濃度でKRAS変異を導入したH292細胞の増殖をよく抑制し、更に悪性度の極めて高い肺小細胞癌に対しても著明な抗腫瘍効果を示した。これらの結果は、従来満足のいく治療法がなかった肺癌の治療に大きな希望を与えるものである。