研究課題
悪性胸膜中皮腫(Malignant Pleural Mesothelioma: MPM)は予後不良の難治性悪性疾患である。2018年に化学療法後に再増悪したMPM症例に対する抗Programmed cell death (PD)-1抗体Nivolumabの使用が保険適応となり、がん免疫療法はMPMにおいても新たなbreakthroughとなると期待される。血管新生に関わる最も重要な因子である血管内皮細胞増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor: VEGF)は、細胞障害性T細胞(Cytotoxic T cell: CTL)の増殖を抑えるだけでなく、機能的にもCTLを抑制していると言われている。本研究で、抗PD-1抗体が惹起するCTLによる抗腫瘍免疫を、VEGFを阻害する血管新生阻害剤が、数的かつ機能的に賦活化する事で、MPMに対する免疫療法の効果が増強されるかを、MPMマウス皮下腫瘍モデルで検証した。マウスMPM細胞AE17をC57BL/6マウスの皮下に移植し、Control群、αPD-1抗体群、Nintedanib群、αPD-1抗体+Nintedanib併用療法群の4群に分け治療実験を行った所、腫瘍接種後14日目の腫瘍体積としてはそれぞれ順に2878±1030mm3、2230±808mm3、1078±338mm3、573±116mm3と、Nintedanib群およびαPD-1抗体+Nintedanib併用療法群でControl群に比べ有意に腫瘍の増大を抑制した。またNintedanib群と併用療法群との比較では有意に併用療法群で腫瘍の増大抑制効果が認められており(P < 0.01)、併用療法による相乗効果が確認された。現在、抗腫瘍免疫の賦活機序についての解析を進めている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Cancer Science
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