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2019 年度 実施状況報告書

分岐点を目指す肺NE細胞の道しるべは何か?

研究課題

研究課題/領域番号 19K17655
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

田村 可奈  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 訪問研究員 (70807461)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードNEB / neuroendocrine cell / 肺NE細胞 / メカニカルストレス / メカノバイオロジー
研究実績の概要

本研究は、肺の機能維持に必要不可欠な肺の感覚器NEBを構成する肺NE細胞 (NE細胞) に着目し、発生期においてどのような制御メカニズムがNEB形成に寄与するのかを明らかにすることを目的としている。ヒトの肺と構成している細胞種や構造が酷似しており、各発生ステージによる肺組織像がおおよそ判明しているマウス胎児肺を用いて、解析を進めている。
まず、肺組織の形態に着目した。気管支分岐エリアでは管エリアと比較し、平滑筋層が多い様子が観察された。そこで、気管支分岐エリアは管エリアよりも硬い構造をしている可能性が考えられた。一部の細胞は周囲の微細環境を認識し、仮足をしっかりと形成できる硬い基質側へ遊走するDurotaxisという性質を持つことが報告されている。そこで、NE細胞がこの性質を示すか実験を行った。まずマウス胎児肺より単離したNE細胞の培養条件検討を行い、次に硬さ勾配をもつゲル基質を作製し、この上で培養することで解析を行った。結果、NE細胞は硬い基質側へ遊走する様子か観察された。
そこで次に、E14.5マウス胎児肺のNE細胞で特異的に発現している遺伝子の中から基質の硬さを認識する候補因子探索を行った。E14.5マウス胎児肺およびE18.5マウス胎児肺から上皮細胞のマーカーであるEpcamがポジティブな細胞を回収しシングルセルデータ化した先行研究のデータを用いて、シングルセル解析を行った。結果、候補因子がいくつか見出された。候補遺伝子の阻害剤を用いて胎児肺の組織培養を行ったところ、NEB形成位置に異常が生じる遺伝子を発見するところまで解析が進んでいる。
次年度は、この候補遺伝子のノックアウトマウスの作製および解析を進めることや、エリアによる組織の硬さの違いが本当に存在するのか解析を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり、硬さ勾配をもつゲル基質を作製し、これを用いたNE細胞の培養を行う実験系の立ち上げが出来た。さらに、この実験系によりNE細胞がDurotaxisを示すことがわかった他、シングルセル解析によって基質の硬さを認識する際に関わる遺伝子がE14.5のNE細胞にて特異的に発現していることもわかった。また、候補遺伝子の阻害剤を用いた組織培養を行った結果、NEB形成の位置異常を生じる候補遺伝子を発見することができたことから、NE細胞が細胞周囲の基質の硬さを感知し、硬い基質側へ遊走している可能性が高いと考えられる。これらのことから、おおむね研究は順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

シングルセル解析によって基質の硬さを認識する際に関わる遺伝子がE14.5のNE細胞にて特異的に発現していること、さらに、候補遺伝子の阻害剤を用いた組織培養を行った結果、NEB形成の位置異常を生じる候補遺伝子を発見することができた。これらの結果から、次年度は、候補遺伝子のノックアウトマウス作製および、ノックアウトマウスの解析を中心に研究を進めたい。合わせて、気管支分岐エリアは管エリアと比較し硬いのかどうか、各エリアの基底膜の弾性率をAFMとマウス胎児肺を用いて解析したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Does Chemotaxis or Durotaxis direct NE cell migration in developing lung?2019

    • 著者名/発表者名
      Kana Tamura
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会

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公開日: 2021-01-27  

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