研究課題
若手研究
骨髄のみGFP (green fluorescent protein, 励起光を受け緑色蛍光を発する蛋白質)を発現するGFP骨髄キメララットに、Sugen5416 (VEGF受容体拮抗薬)+低酸素暴露処理を行った肺高血圧モデルラットを作成した。同ラットの肺動脈病変を調べたところ、GFP陽性(骨髄由来)細胞の存在が確認された。さらに、骨髄移植により、肺高血圧の重症化が抑制されることが示され、骨髄と肺動脈性肺高血圧症の関連性が示唆された。
肺高血圧症
肺動脈性肺高血圧症の生命予後は著しく改善しているが、あらゆる薬剤治療に抵抗性を示し、循環動態の改善が得られず、肺移植を要する例や死に至る症例が散見される。そのような症例に見られる不可逆的肺動脈リモデリングの形成機序は不明な点が多い。動物モデルを使用した本実験により、肺動脈リモデリングに骨髄由来細胞が存在していること、さらに骨髄移植が肺高血圧の重症化を抑制する可能性、が示された。あくまでも動物実験での結果であり、解析に用いた個体数も少なく、臨床応用にはさらなる追加研究が必要であるが、内科的治療には反応が得られない肺動脈性肺高血圧症の病態解明や新規治療展開に貢献し得る結果と考える。