1マウス肺線維症モデル ブレオマイシン経気道的投与により、気管支肺胞洗浄液細胞数の増多、動物用CTで肺線維症の特徴を持つ陰影の確認を行い、肺繊維化に関わるメディエーターの発現上昇、肺内コラーゲン沈着の増加や肺組織病理像での繊維化病変の進行を認めた。 また、肺免疫細胞の解析を行い、マクロファージやリンパ球、樹状細胞などの肺の繊維化に関わる細胞群の変動を認めている。この肺繊維症のモデルにおいて、MDA5KOマウスとMAVSKOマウス、野生型マウスの間で比較すると繊維化病変の広がりや気管支肺胞洗浄液のリンパ球数、肺由来RNAを用いたqPCRにおけるCol1a1 FN1などの繊維化マーカーの発現、Th17細胞に関わるIL-17a発現の相違を認めた。また、ブレオマイシン投与後の肺より単細胞懸濁液を作成し細胞分画を解析した所、好中球と考えられる分画比率と炎症性サイトカインMIP-2発現の相違を認めた。公開データベースにおいてMDA5の発現がマクロファージの特定分画においてより顕著である事から、ブレオマイシン投与後の肺よりこの細胞集団を分離してRNA-seqにより網羅的解析を行なっている。 2細胞レベルの評価 ヒト単球細胞株のU937にsiRNAを用いてIFIH1(MDA5遺伝子名)の発現抑制を起こした細胞を作成した。この系にブレオマイシンを投与した所、細胞死比率やCCL2などの発現に相違が認められた。現在正常線維芽細胞との共培養で繊維化マーカーに相違が観察されるかを解析中である。また、マウスの骨髄細胞をM-CSF含有培地で培養してマクロファージに誘導し、野生型/MDA5KOマウスでブレオマイシンを投与してRNA-seqにて遺伝子発現プロファイルを網羅的解析すると共に、これらを野生型マウスに移植する事で起こる肺繊維化に関して評価している。 内容がまとまり次第、学会、論文発表を行う。
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