研究実績の概要 |
肺樹状細胞(LDC)の主要なサブセットのcDC1(CD11c+MHC class2+CD64-F4/8-XCR1+CD172a-cells), cDC2(CD11c+MHC class2+CD64-F4/8-XCR1-CD172a+cells)をOVA喘息モデルの肺から高純度で分離し、表面抗原、サイトカイン産生能を確認し、単離した上記サブセットとOVA特異的に反応するT細胞受容体を持ったOT-Ⅱトランスジェニックマウスから単離したナイーブT細胞を用いて、分化誘導したT細胞の解析を行えるex vivo共培養アッセイを確立した。一方、OVA感作で増加するcDC2の表面抗原の発現やサイトカイン産生能の違いで更なるサブセットに細分類できることがわかり、その中でも C型レクチン受容体のCLEC10A陽性cDC2が最も効率的にTregを誘導するサブセットであると上記共培養アッセイを用いて判明した。更にTreg維持に必須のIL-2産生能は他のサブセットと比較し、CLEC10A陽性cDC2で高かった。更なる特徴を調べるため、CLEC10A発現の有無で分類したcDC2サブセットのRNA-seq解析を行い、CLEC10A陽性cDC2は他と比較し,Cd209a,b,c等のC型レクチン受容体やCd40, Cd80, Icosl等の共分子に加え、Tlr4, 9等のToll-like受容体の遺伝子発現が高いことがわかった。また、T細胞への抑制シグナルに重要な共分子のPD-L1, PD-L2, ICOSL発現もFACS解析によりCLEC10A陽性cDC2で亢進していることが判明した。現在、この同定したサブセットにex vivoで蛍光標識したOVA抗原をパルスしたLDCワクチンを作製中で、マウス経鼻投与による生体内でのLDCワクチンの動態と肺内や縦隔リンパ節におけるTreg誘導能の解析も予定している。
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