研究課題
2019年度中に予定していた血清IL-18BPの測定および肺組織の免疫染色を実施し、臨床的背景因子や予後との関連について検討を行った。その結果、特発性肺線維症患者の肺組織では健常者と比してIL-18BPの発現が亢進していること、血清IL-18BPが健常者と比べて特発性肺線維症患者で有意に上昇していることを明らかにした。さらにROC曲線を用いた弁別能の検討では、血清IL-18と比してIL-18BPのAUC値が高値であり、特発性肺線維症患者の診断に優れていることを明らかにした。また、予後との検討でも、血清IL-18BPが高値の群の予後が低値の群の予後と比較して有意に不良であり、Cox比例ハザード解析で他因子による調整を行っても有意な関連を認め、予後予測マーカーとしての有用性が見込まれることを明らかにした。併せてC57BL/6マウスを用いた検討も一部実施し、経気道投与による肺線維症モデルマウスの作成を試みた。しかしながらモデルが安定せず、結果にばらつきが大きかったため、ブレオマイシンの投与経路を皮下投与に変更することにより安定した肺線維症モデルの作成が可能であった。このモデルの作成中に、他の研究グループからブレオマイシン肺線維症モデルマウスにIL-18BPを投与することにより肺線維化が抑制可能であったとする内容の論文が発表されたため、当初予定していたIL-18BPのマウスへの投与実験は新規性の点で継続する意義が乏しいと判断し、ここまでの成果に基づいて論文作成を急ぐ方針とした。
2: おおむね順調に進展している
マウスモデルの作成方法を変更した点やIL-18BP投与実験の取りやめなど、一部当初の計画から変更は生じているものの、全般的には予定通りのペースで研究は進行しており、2020年度中には研究結果のまとめと発表の段階に進める予定である。
線維芽細胞株を用いた細胞実験について、購入が可能になり次第細胞株を購入して今年度中に実験を遂行する。あわせてこれまでの結果のまとめと学会発表についても積極的に進め、年度の後半には論文執筆を開始する。
線維芽細胞株を用いた細胞実験のための細胞及び試薬類購入費として2019年度中に使用予定であったが、業者が取り扱いを一時停止してしまったため購入ができなかった。次年度以降、取引が再開され実験施設の利用が可能となり次第購入し、細胞実験を再開する。また、あわせてこれまでの結果のまとめと学会発表についても積極的に進め、年度の後半には論文執筆を開始する。
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Pharma Medica
巻: 38 ページ: 47-51
https://doi.org/10.34449/J0001.38.03_0047-0051