研究課題
血清および気管支肺胞洗浄液中のIL-18BPの測定および肺組織の免疫染色を実施し、臨床的背景因子や予後とIL-18BPの発現状況との関連について検討を行った。その結果、特発性肺線維症患者の肺組織では健常者と比してIL-18BPの発現が亢進していること、血清IL-18BPが健常者と比べて特発性肺線維症患者で有意に上昇していることを明らかにした。さらにROC曲線を用いた弁別能の検討では、血清IL-18と比してIL-18BPのAUC値が高値であり、特発性肺線維症患者の診断に優れていることを明らかにした。同時に血清IL-18BPは気管支肺胞洗浄液中のIL-18BPと有意に相関しており、特発性肺線維症患者における血清IL-18BPの上昇が肺局所の病態を反映したものである可能性が示唆された。また、予後との検討でも、血清IL-18BPが高値の群の予後が低値の群の予後と比較して有意に不良であり、Cox比例ハザード解析で他因子による調整を行っても有意な関連を認め、予後予測マーカーとしての有用性が見込まれることを明らかにした。続いてC57BL/6マウスを用いた検討では、当初予定していたブレオマイシン経気道投与モデルの安定した作成ができず、浸透圧ポンプを用いた皮下投与モデルに切り替えて検討を行った。その結果、血清IL-18がブレオマイシン投与後早期に単峰性の上昇を認めたのに対し、IL-18BPは投与後早期と線維化期に二峰性の上昇が見られた。また、血清IL-18BPは肺組織中のハイドロキシプロリン量と相関がみられた。以上の結果をまとめて日本呼吸器学会学術講演会並びに欧州呼吸器学会(ERS2020)での学会発表を行い、成果をまとめた論文がPLoS One誌に収載された。
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PLoS One
巻: 16 ページ: e0252594
10.1371/journal.pone.0252594