我々は本検討において、これまで原因が不明とされている慢性好酸球性肺炎の病態に好酸球特異的自己抗体が関与しているという仮定の元で免疫沈降法を含めた疾患特異的自己抗体の検出を試みてきた。 最終的に当院の慢性好酸球性肺炎15例について、従来法であるK562細胞を用いた免疫沈降法に加えて、急性骨髄性白血病細胞を起源としたAML14.3D10細胞を用いた免疫沈降法を行った。今回の検討では、K562細胞を用いた免疫沈降法で認められず、AML14.3D10細胞を用いた免疫沈降法において複数の症例で認められるような蛋白の沈降は認めず、結果的に慢性好酸球性肺炎に特異的な自己抗体の検出には至らなかった。 しかし我々は今回、AML14.3D10細胞の培養から蛋白バンドの検出に至る一連の免疫沈降法の手法を確立することに世界で初めて成功した。また、既報のとおり、培養したAML14.3D10細胞が好酸球顆粒蛋白を産生していることが確認できた。 今後は同法において自己抗体の検出感度を高める工夫や症例数を増やしての検討、慢性好酸球性肺炎以外の他の好酸球性疾患(気管支喘息、好酸球性多発血管肉芽腫症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、好酸球増加症候群など)の患者血清においてAML14.3D10細胞による免疫沈降法を行うことにより、好酸球性肺疾患における好酸球顆粒蛋白特異的な自己抗体を検出することが可能ではないかと考えている。
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