• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病における酸素状態の変化と、酸素勾配の生物学的意義の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K17697
研究機関東京大学

研究代表者

平川 陽亮  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10780736)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード低酸素 / 慢性腎臓病 / りん光 / 酸素勾配 / 低酸素応答因子
研究実績の概要

申請者は本申請において、腎臓低酸素の実証と生物学的意義の解明のため、①生体内酸素イメージングを用いた疾患腎での腎臓低酸素の証明 ②生体内で存在する腎臓低酸素の分子生物学的な意義の証明 ③ヒト尿サンプルから尿細管細胞を単離し、低酸素の存在した傍証を得ること の3点に主眼を置いて検討を行った。①については、群馬大学理工学府との共同研究として疾患腎、特に糖尿病マウスにおいて生体内でのりん光寿命測定を行ったが、期待に反し血中のりん光シグナルの取得は困難であり、また尿中のりん光シグナルについては、in vitroでの検量線作成に難があり、微小環境の影響を受けてしまう可能性が考えられ、現在血中プローブの開発を待っている状態となった。③については、尿沈渣細胞のFACSの施行は可能であったが、尿細管細胞の単離には至らなかった。他方、②については、酸素勾配を有する尿細管細胞培養下において、低酸素応答因子(HIF)が特徴的な分布を示すことを示した。この点の解明に集中することで今回の研究の問いである、「慢性腎臓病において酸素状態及び酸素勾配の変化は存在するのか、また酸素勾配の分子生物学的意義は何なのか」のうち後者を解明することに注力することとし、研究を進めている。酸素勾配を有する培養下では、特定の酸素分圧下でHIFの発現が最大になることが分かり、群馬大学との共同研究でこの酸素濃度が1-2%程度であることを示した。これらの結果は酸素生物学において新しい知見であり、国内・国際学会での発表を行っており、学術論文として投稿を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究内容①②③のうち、①③については検討を行い、研究を阻害する要因が明らかとなり、現段階では予定通り進められないことが明らかとなった。他方、②について予定以上の遂行が可能であると把握し、総合的に勘案して②に注力して研究を推進することとしている。②について国内・国際学会への発表を行うことができ、論文発表の準備を行うなど順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

②の、酸素勾配を有する培養系でのHIFの特徴的な発現について、現在その発現を規定する因子が酸素のみではなくpHも関与する可能性を考えて検討を進めている。また、この現象が尿細管細胞のみではなく他の細胞でも生じる可能性を考え、悪性腫瘍細胞や、血管内皮細胞で同様の現象が見られ同様の調節を受けているか否かを検討する方針である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] A unique distribution of hypoxia-inducible factor in cultured tubular cells with hypoperfusion2020

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Hirakawa, Tomoko Honda, Tetsuhiro Tanaka, Kiichi Mizukami, Toshitada Yoshihara, Seiji Tobita, Masaomi Nangaku
    • 学会等名
      World Congress of Nephrology 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 酸素勾配を有する尿細管細胞培養系の確立と特徴的なHIF1αの分布2019

    • 著者名/発表者名
      本田智子、平川陽亮、水上輝市、吉原利忠、田中哲洋、飛田成史、南学正臣
    • 学会等名
      検索結果 ウェブ検索結果 第62回日本腎臓学会学術総会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi