本研究で、申請者は培養尿細管細胞における酸素勾配の存在の意義について検討した。申請者は培養尿細管細胞における、酸素勾配を有する培養系を確立し、低酸素への細胞の反応である低酸素応答因子の挙動について検討した。均一な酸素状態においては、低酸素応答因子は低酸素であるほど発現が増加するが、酸素勾配を有する場合は極度の低酸素下では低酸素応答因子の発現がかえって減少する現象が認められた。この現象の理由としてpHが重要であることを発見し、低酸素応答因子の発現には酸素と酸塩基平衡の両者が密接に関与することを提唱した。この結果は学術論文として発表した(Physiol Rep. 2021 ;9:e14689)。
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