研究課題
長期腹膜透析による腹膜の線維化および腹膜透過性亢進の機序解明を目的として、クロロヘキシジン投与腹膜線維症マウスの腹膜で発現が上昇するMatrix metalloproteinase-10 (MMP-10)の役割を解析した。以前クロロヘキシジン投与マウスの腹膜の遺伝子発現網羅的解析を、今回改めてmatrix metalloproteinaseに着目して再解析を行うと、MMP-10とMMP-14の発現が最も高く約8倍程度の増加を認めた。今回MMP-10に着目して解析を行った。クロロヘキシジンは週3回4週間腹腔内投与を行った。クロロヘキシジン投与野生型マウスの腹膜組織においては腹膜中皮細胞および中皮下組織全体にMMP-10発現が認められた。次にMMP-10ノックアウトマウスに同様にクロロヘキシジンを腹腔内投与すると野生型に比べて腹膜線維化が軽減した。また中皮下線維組織内のαSMAとマクロファージ浸潤が低下していた。TGF-β、CTGF、Fibronectin、Col1a1はいずれもクロロヘキシジンMMP-10ノックアウトマウスで低下していた。また、炎症に関わるCcl2/Mcp1とEmr1発現も低下していた。現在腹膜透過性亢進にMMP-10が及ぼす影響を検討するために、腹膜平衡機能試験を行い、またVEGF遺伝子発現変化の検討を行っている。さらには培養ヒト中皮細胞を用いて、MMP-10抑制の効果を検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
MMP-10ノックアウトマウスでクロロヘキシジン投与による腹膜線維症マウスで、明らかな表現型の変化が認められ、順調に解析が進行しているため。
腹膜透過性亢進にMMP-10が及ぼす影響を検討するために、MMP-10ノックアウトマウスに対して腹膜平衡機能試験を行い、またVEGFの遺伝子発現変化の検討を行う。さらには培養ヒト中皮細胞を用いて、MMP-10抑制の効果を検討する予定である。
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