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2020 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病患者におけるサルコペニア/フレイルの発症因子としてのADMA

研究課題

研究課題/領域番号 19K17718
研究機関順天堂大学

研究代表者

若林 啓一  順天堂大学, 医学部, 助教 (60748565)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードサルコペニア / フレイル / 慢性腎臓病 / 終末糖化産物
研究実績の概要

CKD患者、特に透析患者ではサルコペニアの有病率が高い。CKDで蓄積する代表的な尿毒素の一つである終末糖化産物(AGE)は、炎症を惹起しインスリン抵抗性やADMAの上昇、内皮障害に関与すること、健常高齢者ではサルコペニア/フレイルと関連する。そこで我々は、骨格筋に蓄積したAGEの、CKD関連サルコペニア/フレイルにおける詳細な役割を検討を行った。動物実験ではCKDモデルの腓腹筋にみられる形態学的異常、毛細血管数の減少、ミトコンドリア機能異常に対するAGEアプタマーの効果について検討を行った。維持血液透析患者では、フレイルを有する群でAGEが高値であり、Time up and goテストのスコアおよび身体活動強度とAGEも有意な相関を示した。5/6腎摘CKDモデルマウスでは、本観察期間においては筋量の低下はみられなかったが、筋線維へのAGEの蓄積、筋線維の大小不同など、サルコペニアに特徴的な筋の形態学的変化が観察され、内皮障害、毛細血管数の減少、ミトコンドリア機能異常もみられたが、これらはAGEを特異的に阻害するAGEアプタマーにより、完全に改善がみられた。以上から、AGEは内皮障害やミトコンドリア機能異常を介してCKDのサルコペニア/ フレイルの発症に関与する可能性が示唆され、これらの結果は論文として報告した(Sci Rep. 2020;10(1):17647.)。また興味深いことに腎不全モデルマウスの骨格筋においてマイオカインの1種であるIrisinの発現が低下していることが見いだされ、透析患者においてはIrisinの濃度が運動量や筋肉量と負の相関を示すこと、またその低下がABIや血管の石灰化など動脈硬化のサロゲートマーカーと密接に関連することも見出しており、現在、筋萎縮-心血管病連関機序としてのIrisin-内皮障害に着目し検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

内皮障害因子であるAGEがサルコペニア/フレイルの発症進展に密接に関与するという可能性を見出しすでに論文報告を行った。またそこからさらに深堀りした研究および派生した新たな病態機序に関する検討も行っている。

今後の研究の推進方策

今後はCKDのサルコペニア/フレイルにおける運動療法及びMyokineであるIrisinに着目し、その動態と治療目的としての可能性を探求していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究費を効率的に使用したため、残額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Association of advanced glycation end products with sarcopenia and frailty in chronic kidney disease.2020

    • 著者名/発表者名
      Junko Yabuuchi, Seiji Ueda*, Sho-ichi Yamagishi, Nao Nohara, Hajime Nagasawa, Keiichi Wakabayashi, Takanori Matsui, Higashimoto Yuichiro, Tomoyasu Kadoguchi, Tomoyuki Otsuka, Tomohito Gohda & Yusuke Suzuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 1-12

    • DOI

      10.1038/s41598-020-74673-x.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CKDにおけるサルコペニア/ フレイルの発症因子としてのAGE2020

    • 著者名/発表者名
      薮内純子、上田誠二、野原奈緒、長澤肇、大塚智之、若林啓一、鈴木祐介
    • 学会等名
      第63回 日本腎臓学会学術総会

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公開日: 2021-12-27  

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