研究課題/領域番号 |
19K17723
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
秋山 健一 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (70836569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 末期腎不全 / 慢性腎臓病 / calciprotein particle / クエン酸 / 酢酸 / 血液透析 |
研究実績の概要 |
慢性腎臓病患者における血中カルシプロテインパーティクル (calciprotein particle、CPP) は、冠動脈石灰化、冠動脈粥状動脈硬化とそれぞれ有意に正の関連を示すことが既に報告されている。末期腎不全で血液透析を行っている患者は、全身の血管の高度石灰化、動脈硬化から死亡率、心血管イベント発生率が極めて高いことが知られている。近年、血液透析患者においてクエン酸含有透析液を使用した場合、通常の酢酸含有透析液の使用と比較し、生命予後が良好であると報告された。我々は、基礎的な実験にて、クエン酸を添加する事で、培養液中の CPP 生成が抑制されることを既に報告している。よって、血液透析患者においてクエン酸含有透析液の使用は、酢酸含有透析液の使用と比較し、血中 CPP 生成が抑制され、血管石灰化の進行を抑制するという仮説を立て検討した。血中 CPP と血管石灰化の進行の関連について、レントゲンで評価する大動脈弓部石灰化スケール (aortic arch caclification score、AoACS) を用いて、クエン酸透析液使用群と酢酸透析液使用群の2群間で1年間の後ろ向きの観察研究を行った。262人の外来血液透析患者を対象とした。クエン酸含有透析液使用群が酢酸含有透析液群と比較し、有意に AoACS の進行が抑制された。既知の石灰化関連因子を調整した上で多変量解析を行ったところ、クエン酸透析液の使用の有無と年齢が AoACS の進行と有意に関連する因子であった。観察研究開始時点で AoACS が50%以下の軽症から中等症の患者216人の解析においては、クエン酸含有透析液群のみ、レントゲンで評価する AoACS と血中 CPP が有意な負の関連を示した。現在、本臨床研究結果を論文化し、投稿雑誌において採択を目指しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文化し雑誌に投稿したが、reject や要修正が必要となり、修正後にも再度、reject されてしまい、論文の採択が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
観察期間を4年へ延長する。レントゲンで評価する AoACS ではなく、客観性の高い computed tomography (CT) 画像を用いた血管石灰化評価スケールである aortic calcification index (ACI) を採用する。外来血液透析患者において、クエン酸透析液群と酢酸透析液群の2群間で ACI の比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による臨床業務繁忙により研究計画が予定通り進まなかったため。
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