• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

多発性嚢胞腎におけるリンパ管新生の意義の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17725
研究機関愛知医科大学

研究代表者

鬼無 洋  愛知医科大学, 医学部, 講師 (70805275)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード多発性嚢胞腎 / リンパ管新生 / VEGF-C
研究実績の概要

リンパ管は過剰な組織液を再吸収して血液循環に戻す働きをもち、間質の恒常性を保つ重要な役割を担っている。腫瘍、炎症などさまざまな病態において新生リンパ管が発達することが報告され、リンパ管新生の中心的な分子メカニズムとして血管内皮成長因子VEGF-Cとその受容体であるVEGFR-3を介したシグナルが知られている。
多発性嚢胞腎は半数以上の患者が末期腎不全に至り、最も透析導入が多い遺伝性腎疾患であるが、有効な治療法は確立されていない。近年、多発性嚢胞腎マウスモデルにおいて、VEGF-C投与による嚢胞形成抑制効果が報告された。今回、我々はよりヒト臨床経過に近いマウスモデルを用いて、嚢胞形成におけるリンパ管新生の意義を検討することとした。
生後3-4週で嚢胞形成が開始されるマウスモデルとして、Pcyマウス、Jckマウスの2種類の系統を用いる。どちらのマウスも生後8週で嚢胞形成が顕著に進行し、免疫染色により間質線維化病変におけるリンパ管発現が観察された。そのマウスモデルを用いて、ヒトVEGF-Cを発現するアデノウイルスベクター(AdVEGF-C)による治療効果を検討することとした。マトリゲル上の培養リンパ管内皮細胞において、ヒトVEGF-C投与により管腔形成が促進される効果を観察した。また、Jckマウスの遺伝背景となるC57BL/6の正常マウスにおいて、5x10^8 pfuのAdVEGF-Cを静脈内投与することにより、投与後4週まで血中VEGF-C濃度が有意に上昇することをELISAにより確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Pcyマウス、Jckマウスモデルについて、モデル作成とその組織採取方法は確立されている。ヒトVEGF-Cを発現するアデノウイルスベクターの投与量とその効果継続期間について知見が得られている。マウス腎組織において、リンパ管発現を解析する免疫組織学的手法は確立されている。

今後の研究の推進方策

4週齢のPcyマウス、Jckマウスに5x10^8 pfuのヒトVEGF-Cを発現するアデノウイルスベクター(AdVEGF-C)、またはβ-galactosidaseを発現するコントロール用のアデノウイルスベクター(AdLacZ)を経静脈的に投与する。投与後4週(8週齢)でマウスの両腎、血液を採取する。VEGF-C、リンパ管発現を免疫組織学的手法を中心に解析し、AdVEGF-C投与によるリンパ管新生を評価する。さらに、腎重量比、血清クレアチニン測定、PAS・MT染色により嚢胞形成の進行と腎の炎症細胞浸潤、線維化、腎不全の程度を解析し、AdLacZ群と比較してAdVEGF-C群で嚢胞形成が抑制され、腎不全が予防されるかを評価する。

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi