研究課題
若手研究
糖尿病性腎症等の腎臓疾患は、腎臓間質における血管内皮障害に起因する炎症・線維化を主体とする病態である。一方、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は主に血管内皮細胞から産生され、抗炎症・線維化抑制作用が知られているが、腎障害における作用は不明であった。本研究では、血管内皮細胞特異的CNP過剰発現マウス(E-CNP)や腎臓由来線維芽細胞を用いて解析し、CNPが線維芽細胞の細胞分裂を抑えることにより、線維化病態の進行を抑制することを明らかにした。
動物生理学
慢性腎障害の発症メカニズムの一つに、肥満・糖尿病に起因する血管内皮障害があると考えられているが、慢性腎障害に対する血管内皮細胞の寄与については十分に解明されていない。本課題では、主に血管内皮細胞から産生されるCNPが、腎障害に応答して産生亢進する事に加え、血管内皮細胞から産生されるCNPが腎臓の線維化を抑制する事を見いだした。これらの結果は、腎障害の病態進行における血管内皮細胞の寄与を示しており、今後の創薬研究においてCNPとそれを産生する血管内皮細胞が重要な標的となりうることを提示した。