研究課題
前年度までの検討で、ヒト糖尿病性腎症と類似した病態を示す新規作製モデルマウス(db/dbマウスに対して片腎摘出+高食塩負荷を加える)は腎糸球体、腎遠位ネフロンでRac1-MR経路活性化が生じていること、同経路活性化が糖尿病性腎症進展に寄与することを確認していた。また、本モデルマウスの腎障害表現型は糸球体障害が主体であること、糸球体構成細胞のうち特にポドサイト障害が目立つこと、ポドサイトでのRac1活性化を示唆する蛍光染色像を認めることを確認していた。今年度、ヒト糖尿病性腎症組織を用いて同様の評価を行ったところ、モデルマウスと同様にポドサイトのRac1活性化を示唆する蛍光染色像が認められた。ここまでで得られた成果をまとめて論文発表した (Hirohama D, et al. Activation of Rac1-mineralocorticoid receptor pathway contributes to renal injury in salt-loaded db/db mice Hypertension 78:82-93, 2021)申請者が所属していた研究室では、糸球体腎炎モデルマウスへのsiRNA含有polyion complexナノキャリア(PICナノキャリア)の腹腔内投与により、siRNAの糸球体選択的な導入および治療効果を報告している(J Am Soc Nephrol 2010)。しかし、糖尿病マウスについては効果が未知であり、作製した糖尿病性腎症モデルマウスを用いてPICナノキャリアによる糸球体特異的治療についても研究を試みた。しかし生体内への最適な投与量を模索する過程で予想以上に時間を要し、研究期間内には表現型改善効果を評価するまでには至らなかった。
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