今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果からは、メガリンが腎内RAS調節の重要な部分を担い、腎内Ang-IIの変化が近位尿細管上皮細胞の管腔側のNa+-H+ Exchanger-3(NHE3)等のNa+トランスポーターに影響を及ぼすことが推察される。今後の研究ではメガリンが腎内Angペプチド、さらにNa+トランスポーターを介して血圧調節に与える影響についても解明を目指す。近位尿細管上皮細胞のAng-II type IレセプターがNa+再吸収・血圧調節に重要な役割を果たし、Ang-IIによってNHE3の刷子縁膜上での分布が変化し、Na+再吸収に影響を及ぼすことが報告されており(Am J Physiol Renal Physiol, 298: F177-186, 2010, J Am Soc Nephrol, 16: 2890-2896, 2005)、NHE3の刷子縁膜上での分布を観察することで、メガリンがNHE3に与える影響も掘り下げて解析を行う。さらに、メガリンが腎内RAS調節に関わるメカニズムの詳細を解明するため、レニン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)、ACE2などのAngペプチドの産生や代謝に関わる酵素に与える影響についても検証を行っていく。
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