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2019 年度 実施状況報告書

メガリンによる腎内レニン‐アンジオテンシン系調節機構の分子機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K17734
研究機関新潟大学

研究代表者

後藤 佐和子  新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (10832884)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードメガリン / レニン・アンジオテンシン系 / アンジオテンシンペプチド / 質量分析法
研究実績の概要

レニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin system: RAS)は血圧の調節に重要である。腎臓の近位尿細管の管腔側膜に高発現するエンドサイトーシスレセプターのメガリンは、RASの中心的役割を担うアンジオテンシン(Ang)ペプチドの基質であるアンジオテンシノーゲン(AGT)の腎臓内への取り込みに関わるが、メガリンによる腎臓のRASの制御に関しては不明な点が多い。これまでの研究の中で、質量分析計によるAngペプチドの新規定量法を独自に開発し特許出願した(特願2017-128700)。従来Angペプチドは抗体を使用する免疫測定法で定量されており、抗体に関連した問題も多かったが、新規に開発した質量分析計による定量法では抗体に依存せず高感度で精度の高い定量を行うことが可能となった。平成31年度から令和元年度においては、このAngペプチドの新規定量法を用いて腎特異的メガリンノックアウト(KO)マウスの生体試料のAngペプチドを定量することでメガリンを介する腎臓のRAS調節のメカニズムを解明することを目的に研究を進めてきた。具体的には腎内RAS調節におけるメガリンの役割を解明するため、既に所属の研究室において確立しているタモキシフェン誘導型の近位尿細管特異的メガリンKOマウスとそのコントロールマウスを用いて、テレメトリー法による血圧測定、尿中Na+排泄など電解質の評価、新規定量法を用いた腎臓・血漿・尿などの生体試料のAngペプチドの定量評価を行ってきた。これまでの検討で、腎内RASには全身性RASとは独立した調節機構が存在し、メガリンをノックアウトすることによって腎内Ang-IIの上昇が抑制され、尿中Na+排泄が保たれるデータが得られている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出願した特許に関しては、所属の大学の発明審査委員会の会議において、令和2年度に審査請求を行うことが決定している。これまでの検討で、腎内RASには全身性RASとは独立した調節機構が存在し、メガリンKOマウスではAGTの糸球体過剰濾過の状態において腎内Ang-IIの上昇が抑制され、尿中Na+排泄が保たれるデータが得られており、本研究の目的であるメガリンによる腎内RASの調節機構が解明されつつあることから、本研究は現在までおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた結果からは、メガリンが腎内RAS調節の重要な部分を担い、腎内Ang-IIの変化が近位尿細管上皮細胞の管腔側のNa+-H+ Exchanger-3(NHE3)等のNa+トランスポーターに影響を及ぼすことが推察される。今後の研究ではメガリンが腎内Angペプチド、さらにNa+トランスポーターを介して血圧調節に与える影響についても解明を目指す。近位尿細管上皮細胞のAng-II type IレセプターがNa+再吸収・血圧調節に重要な役割を果たし、Ang-IIによってNHE3の刷子縁膜上での分布が変化し、Na+再吸収に影響を及ぼすことが報告されており(Am J Physiol Renal Physiol, 298: F177-186, 2010, J Am Soc Nephrol, 16: 2890-2896, 2005)、NHE3の刷子縁膜上での分布を観察することで、メガリンがNHE3に与える影響も掘り下げて解析を行う。さらに、メガリンが腎内RAS調節に関わるメカニズムの詳細を解明するため、レニン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)、ACE2などのAngペプチドの産生や代謝に関わる酵素に与える影響についても検証を行っていく。

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公開日: 2021-01-27  

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