ケトン体の一種であるβヒドロキシ酪酸(βOHB)の腎保護作用に着目した.ヒト腎尿細管培養細胞(HRCE)において,βOHBはシスプラチン誘導性のアポトーシスに対する抑制作用を有し,その細胞保護作用の一つとして生存シグナル伝達経路であるAktの関連を見出した.またシスプラチン腎症モデルマウスにおいてβOHBの腹腔内投与により,血清Cr,BUN値の上昇が有意に減少し,cleaved caspase3の発現上昇は有意に抑制された.これより腎障害モデルマウスにおいてもβOHBがアポトーシス抑制作用を有することを示唆した.
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