研究課題
前年度までの研究で、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)が肺組織でもAKTシグナルの亢進に関与することが示され、我々の行った先行研究の結果と同じくMMP2の過剰発現がアポトーシス関連シグナルに作用することが示唆された。本年度はMMP2および関連物質が腎線維化に与える影響につき、in vivo実験を中心に実験を進めた。MMP2過剰発現マウスへの腎線維化の誘発実験では、コントロール群のマウスに対する腎線維化の誘導に想定以上の期間を要しており、年度内の解析の完了には至らなかった。また、本研究遂行中に発表された他施設の研究論文で、MMP2が特定の時期に腎障害の進行を促進しうる新たな機序が示されたため、MMP過剰発現マウスにおける腎障害の評価時期や評価項目につき、計画当初より多面的な検討を行う必要が生じた。一方で、MMP2と密接な関連があるtransforming growth factor-β1(TGF-β1)が腎線維化に直接的に関与することおよび、トロンボモジュリンがG-protein coupled receptor 15(GPR-15)によるAKTの活性化を介した抗アポトーシス作用によりTGF-β1を介した腎線維化の抑制に関与することを示すことに成功した。また、前年度に明らかにした特定の細菌が産生する臓器線維化を促進しうるペプチドを標的とした治療の臓器線維化への有効性に関する検討の準備が進んでいる。上記の通り、MMP-2による直接的な腎線維化への影響を明らかにするためには今しばらくの時間を要することとなったが、MMP-2関連物質と腎線維化に関する新たな経路の同定およびその経路を標的とした治療法の開発に関して成果をあげることができた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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