本研究で集積できた患者はDRSまたはCCDDを含めて5名(5家系)であった。そのうち4名では腎障害を合併し、病理形態学的ににFSGSが3名、IgA腎症が1名であった。内耳障害は3名に認められており、そのうち2名は両側性であった。CCDDのうちDRSが4名であり両側性は2名であった。残りの1名は先天性両側眼瞼下垂を伴う外転神経麻痺であり、現在まで報告のない表現型であった。家族性は認めらなかった。
これらの患者には既知の遺伝子変異(MAFB/CHN1/COL25A1)は認められず、また関連がある遺伝子を含めても変異を認めなかった。これら5名のうち3名(3家系)については家族の方の同意を得てRNA-Seq、Mi-RNA-seqを施行した。これらの患者に共通するDNAレベルでの遺伝子はないものの3名に共通するPathwayを認めた。RREACTOME、KEGGなどのPathway解析ではいずれも Axon guidanceが最も上位に関連していた。
Mi-RNA SeqではmiR-30a-5p、miR-656-3p、miR-4518などが特に上昇しており DIAND Mi-PathでもRNA-Seqと同様にAxonGuidanceが最も関連しMi-RNAの変化において共通するものがあることが推定された。これらの変化がDNAレベルでの変化を反映しているのか、それとも疾患そのものをただ反映しているのかは今後の研究が必要であると考えらえる。
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