研究課題/領域番号 |
19K17754
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田中 寿絵 東海大学, 医学部, 助教 (60803327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腎性骨症 / 二次性副甲状腺機能亢進症 / エストロゲン / 骨代謝 / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
我々は二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)とエストロゲン欠乏がともに高骨代謝回転型骨病変を相加的もしくは相乗的に悪化させると仮説を立てて,雌SDラットに5/6腎摘+高リン食(SHPT)と両側卵巣摘出(OVX)を組み合わせて(1)Sham,(2)SHPT,(3)OVX,(4)SHPT+OVXの4群のモデルラットを作成した.術後8週間の飼育の後,全血,両側大腿骨,脛骨を採取して,血清マーカー,骨における蛋白の発現,骨強度を検討した. OVXモデルでは体重が増加し,SHPTモデルでは体重が減少しており,既報通りの結果であった.SHPTモデルでは低Ca,高P,高PTH,高FGF23血症が観察され,OVXモデルではこれらのミネラルやホルモン値に有意な影響を与えなかった.これらも既報通りの結果であり,我々の求めるモデルが問題なく作成されたことを示す. 骨の蛋白発現を見るためにmRNAを検討したところ,骨吸収マーカーであるRANKL/OPG比がOVXとSHPTそれぞれ単独の侵襲よりも組み合わせるとより上昇することが分かり,期待した通りの結果であった.骨形成マーカーであるRunx2,Osterix,Col1a1,ALPはいずれもOVXモデル,SHPTモデルで亢進していた一方で,OVX+SHPTモデルではSHPTモデルよりも軽減されており,骨形成と骨吸収の不均衡が生じていることが分かった.骨強度試験ではSHPTモデルで骨が脆弱化し,我々の予想に反してOVXモデルではむしろ強くなっていたという結果が得られ,体重が大きく影響したものと思われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル動物作成や血清マーカー測定,蛋白発現の検討,骨強度試験などは概ね問題なく施行することができた.
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今後の研究の推進方策 |
蛋白発現や骨強度試験で予想外の結果も得られたため,今後は得られた骨の非脱灰切片を使用して骨形態計測を行うことで,上記の現象を説明しうる所見が得られるかどうかを検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が概ね順調に進展したことから動物や実験試薬購入にかかる経費が軽減できた.今後は骨形態計測に必須の顕微鏡に関連する物品購入,追加で検討すべき血清マーカー測定試薬購入を行う予定である.
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