研究実績の概要 |
動物体内で外来性のネフロン前駆細胞から生理機能を有した、in vivoでの腎臓再生を研究している。本申請ではin vivo再生腎に対し薬剤を投与することで、薬剤性腎障害を惹起させ解析し、薬剤性腎障害の発生機序を解明することが目的である。本年度は、再生用の胎生期腎臓に異種間でネフロン再生が可能かを検討した。ジフテリアを投与し、Six2陽性のネフロン前駆細胞だけを除去し、腎発生ニッチを空けることで、マウス腎臓内部にラットのネフロン前駆細胞から再生したネフロンを構築した。この再生用腎原基を成獣ラットに免疫抑制剤の使用下で後腹膜に移植し、in vivoでの尿濾過能を示した。この成果は、Fujimoto T, Yamanaka S, Tajiri S, Takamura T, et al. In vivo regeneration of interspecies chimeric kidneys using a nephron progenitor cell replacement system. Sci Rep. 2019で報告した。また、胎仔期にネフロン前駆細胞を腎発生領域に移植し、移植の足場となる胎仔を生存させたまま、外来性前駆細胞由来のネフロンを再生させることに成功した。この手法は、Yamanaka S, Saito Y, Fujimoto T, Takamura T, et al. Kidney Regeneration in Later-stage Mouse Embryos via Transplanted Renal Progenitor Cells, J Am Soc Nephrol, 2019, で報告した。これらの成果はまだ腎毒性薬剤を投与しておらず、モデル構築に留まっている。次年度はこれらのモデルを使用し、シスプラチンまたはゲンタマイシンを投与し、再生腎における腎障害マーカーを評価することでin vivoでの薬剤性腎障害モデルの検討を進める。
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