• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

腎前駆細胞からの再生ネフロンを用いたin vivo腎毒性評価モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17756
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

山中 修一郎  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80775544)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード腎毒性評価モデル / iPS細胞 / 前駆細胞 / 腎臓再生 / 急性腎不全 / 薬剤性腎障害
研究実績の概要

動物体内で外来性のネフロン前駆細胞から生理機能を有した、in vivoでの腎臓再生を研究している。本申請ではin vivo再生腎に対し薬剤を投与することで、薬 剤性腎障害を惹起させ解析し、薬剤性腎障害の発生機序を解明することが目的である。本年度は、再生用の胎生期腎臓に異種間のヒトネフロン前駆細胞からネフ ロン再生が可能かを検討した。ヒト細胞が利用可能なDTAモデルを使用し、Six2陽性のネフロン前駆細胞だけを除去し、腎発生ニッチを空けることで、マウス腎 臓内部にヒトiPS細胞から誘導したネフロン前駆細胞から再生した幼弱なネフロンをin vitroで生成した。この成果は、Fujimoto T, Yamanaka S, Tajiri S, Takamura T, Saito Y, Matsumoto N, Matsumoto K, Tachibana T, Okano HJ, Yokoo T. Generation of Human Renal Vesicles in Mouse Organ Niche Using Nephron Progenitor Cell Replacement System. Cell Rep. 2020 Sep 15;32(11):108130. で報告した。 この成果を用いて今後は腎毒性薬剤を投与し、腎毒性評価を検討する。具体的には腎毒性としてシスプラチンまたはゲンタマイシンを投与し、再生腎における腎 障害マーカー(Kim 1)を評価することでまずはin vitroでの薬剤性腎障害モデルの検討を進める。 また胎仔の細胞移植法としてより簡便で有効な手法の検討を行い、既存の効率をこえる移植法を開発した。新たな移植法について、再生尿細管の機能や腎毒性暴 露後の反応、生存期間などを解析中である。本手法はin vivoで異種細胞を受け入れ可能とするために免疫不全システムと前駆細胞除去システムを同時に搭載し たマウスモデルを作製することで、ヒト細胞におけるin ivo腎毒性評価へと応用をすすめていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ネフロン前駆細胞を新生仔期の腎発生ニッチに移植を試みている。特に異種細胞を受け入れ可能とするためには免疫不全システムと前駆細 胞除去システムを当時に搭載したマウスモデルの作製が必要である。2021年度に同時搭載マウスは作製が終わり、2022度にはヒトiPS細胞由来のネフロン前駆細胞を移植し、キメラ形成能および、薬物の投与濃度による薬剤性腎障害の再現を試みる。本申請の計画は概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

マウス体内で生成した尿細管の腎毒性曝露後の反応を解析するため、ヒトとマウスのキメラ腎臓にたいし、シスプラチンおよびゲンタマイシンの投与群と非投与群の比較解析を行う。さらに薬剤性腎障害の発生機序に即し検討を深める。特に腎毒性化合物のトランスポーターに特化して探索をすすめる。トランスポーターを特定可能であればその阻害薬を調 べ、腎障害物質にたいする保護薬剤効果が示せるかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通り の計画を進めていく。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Generation of chimeric kidneys using progenitor cell replacement: Oshima Award Address 20212022

    • 著者名/発表者名
      Yamanaka Shuichiro
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Nephrology

      巻: 26 ページ: 491~500

    • DOI

      10.1007/s10157-022-02191-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Generation of heterozygous PKD1 mutant pigs exhibiting early-onset renal cyst formation2022

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Masahito、Umeyama Kazuhiro、Nakano Kazuaki、Matsunari Hitomi、Fukuda Toru、Matsumoto Kei、Tajiri Susumu、Yamanaka Shuichiro、Hasegawa Koki、Okamoto Kazutoshi、Uchikura Ayuko、Takayanagi Shuko、Nagaya Masaki、Yokoo Takashi、Nakauchi Hiromitsu、Nagashima Hiroshi
    • 雑誌名

      Laboratory Investigation

      巻: 3 ページ: s41374

    • DOI

      10.1038/s41374-021-00717-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Beneficial Impact of Interspecies Chimeric Renal Organoids Against a Xenogeneic Immune Response2022

    • 著者名/発表者名
      Saito Yatsumu、Matsumoto Naoto、Yamanaka Shuichiro、Yokoo Takashi、Kobayashi Eiji
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 13 ページ: 2022.848433

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.848433

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Techniques of fragile renal organoids transplantation in mice2021

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Naoto、Matsui Kenji、Saitou Yatsumu、Takamura Tsuyoshi、Yamanaka Shuichiro、Yokoo Takashi、Kobayashi Eiji
    • 雑誌名

      Acta Cirrgica Brasileira

      巻: 36 ページ: e361102

    • DOI

      10.1590/acb361102

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新しい手法を駆使した腎臓病研究の最前線】腎臓発生・再生 発生ニッチ補完による腎臓再生法2021

    • 著者名/発表者名
      松本直人,山中修一郎,横尾隆
    • 雑誌名

      腎と透析

      巻: 91 ページ: 919-922

  • [雑誌論文] エリスロポエチンと再生医療2021

    • 著者名/発表者名
      松本啓、齋藤弥積、山中修一郎、横尾隆
    • 雑誌名

      腎臓内科

      巻: 13 ページ: 667-675

  • [学会発表] 前駆細胞と異種胎生ニッチが生み出す ハイブリッド腎臓と異種再生医療2022

    • 著者名/発表者名
      山中修一郎
    • 学会等名
      21回日本再生医療学会総会 シンポジウム12 「3次元臓器再生」
  • [学会発表] 異種動物の胎内発生ニッチを利用した臓器再生2021

    • 著者名/発表者名
      山中 修一郎
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会、ワークショップ 新たな国民病、慢性腎臓病の病態を分子生物学的に解明する
  • [図書] ビジュアルアブストラクトで読みとく 腎臓論文ベストセレクション2021

    • 著者名/発表者名
      分担執筆、松井賢治、山中修一郎、横尾隆
    • 総ページ数
      290
    • 出版者
      中外医学社

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi