研究課題
若手研究
水疱性類天疱瘡 (BP) は表皮基底膜部に存在するBP180に対する自己抗体によって生じる自己免疫性水疱症で、糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬服用患者に本症が好発することが知られている。本研究においてDPP-4阻害薬関連BP患者の末梢血リンパ球は健常人リンパ球よりもDPP-4阻害薬によってTh2サイトカインを産生しやすくなる傾向がみられた。また、BP患者病変部皮膚ではDPP-4(CD26)陽性のT細胞や線維芽細胞が健常皮膚より多く見られた。
皮膚科学
本研究で得られた成果は、DPP-4阻害薬によってBP患者のT細胞のTh1/Th2バランスがTh2に傾きやすいこと、つまりBP患者ではDPP-4阻害薬によって自己抗体が産生されやすい状態になりやすいことを示唆している。また、BP患者の皮膚ではT細胞や線維芽細胞がDPP-4(CD26)を発現していることから、DPP-4阻害薬がこれらの細胞に何らかの影響を及ぼしている可能性がある。以上は、DPP-4阻害薬がBPを誘導する機序の解明に資する結果であり、今後の更なる病態解明に向けて基礎的なデータとなる。