研究課題/領域番号 |
19K17764
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
水牧 貴恵 金沢大学, 附属病院, 医員 (30802813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乾癬 / 制御性B細胞 / B細胞 / IL-23 |
研究実績の概要 |
今までの研究で、Recombinant IL-23をマウスの耳介皮内へ投与して乾癬様皮膚炎を誘導できることを確認し、B細胞が著増しているB細胞特異的PTEN欠損マウスの耳介皮内にRecombinant IL-23を投与すると、組織学的に乾癬の炎症が抑制されることを明らかにしている。今回はこの乾癬モデルマウスの脾臓、所属リンパ節、皮膚病変部のT細胞、B細胞、制御性B細胞、制御性T細胞、IL-17A陽性CD4陽性T細胞を、フローサイトメトリーを用いて、0日目、7日目、15日目と経時的に評価した。B細胞特異的PTEN欠損マウスの脾臓では、Recombinant IL-23の投与によってCD4陽性T細胞が増加していた。B細胞特異的PTEN欠損マウスでは、0日目、7日目、15日目のいずれの段階でも制御性B細胞が著増していたが、そのピークは7日目で、15日目にはやや減少傾向となったがいずれもコントロール群と比較して著増していた。制御性T細胞もコントロール群と比較して増加していたが、制御性B細胞が7日目の早期にピークを迎えるのに対して、制御性T細胞は15日目の後期に向けて緩徐に増加していた。 B細胞特異的PTEN欠損マウスの所属リンパ節ではRecombinant IL-23の投与によってCD4陽性T細胞・B細胞が増加していた。B細胞特異的PTEN欠損マウスでは、0日目、7日目、15日目のいずれの段階でも制御性B細胞が著増していた。制御性T細胞はRecombinant IL-23投与によって徐々に増加し、コントロール群と比較しB細胞特異的PTEN欠損マウスで有意に増加していた。B細胞特異的PTEN欠損マウスの皮膚病変部では、IL-17A陽性CD4陽性T細胞の割合が減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Recombinant IL-23の投与による制御性B細胞、制御性T細胞を経時的に評価することができた。また炎症が抑制されているB細胞特異的PTEN欠損マウスの皮膚病変部ではコントロールマウスと比較してIL-17A陽性CD4陽性T細胞の割合が減少しているという結果を得ることができた。これらの実験結果により、脾臓、所属リンパ節で増加した制御性B細胞が、制御性T細胞への分化を促進させ、皮膚病変部のTh17細胞への分化を抑制している可能性を示唆する知見を得ることができたため、計画の達成度は概ね順調と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験で、B細胞が著増しているB細胞特異的PTEN欠損マウスでは乾癬の炎症が抑制され、B細胞特異的PTEN欠損マウスで主にIL-10を産生しているB1B細胞を野生型マウスに移入すると皮膚の炎症所見が抑制されること、B細胞特異的PTEN欠損マウスでは、脾臓、所属リンパ節における制御性B細胞が著増しており、Recombinant IL-23の投与により7日目をピークに増加し、それに伴い制御性T細胞が増加していること、B細胞特異的PTEN欠損マウスの皮膚病変部では、IL-17A陽性CD4陽性T細胞の割合が減少していること、という知見を得ることができた。今後は脾臓、所属リンパ節におけるIL-17A陽性CD4陽性T細胞の解析やreal-time PCRを用いたサイトカインの解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後もマウスや試薬の購入を控えており、計画的に使用したため。乾癬モデルマウス作成のために必要なマウスや試薬等に使用予定。
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