本研究では制御性B細胞が著増しているB細胞特異的PTEN欠損マウスを用いて、乾癬における制御性B細胞の役割を検討した。recombinant mouse (rm)IL-23をマウスの耳介皮内に投与して乾癬様皮膚炎を誘導した。制御性B細胞が著増しているB細胞特異的PTEN欠損マウスでは、コントロールマウスと比較して乾癬樣皮膚炎の所見が軽度にとどまり、耳介全体の厚さ、表皮の厚さは有意に減少していた。脾臓、所属リンパ節、皮膚に浸潤している細胞を、フローサイトメトリーを用いて0、7、15日目に経時的に解析したところ、B細胞特異的PTEN欠損マウスでは、脾臓、所属リンパ節における制御性B細胞が著増しており、rmIL-23の投与により7日目をピークに増加していた。B細胞特異的PTEN欠損マウスでは制御性T細胞も増加しており、制御性B細胞の増加に伴い、15日目の炎症の後期に向けて緩徐に増加していた。さらにB細胞特異的PTEN欠損マウスの皮膚病変部では、IL-17A陽性CD4陽性T細胞の割合が減少していた。最後にB細胞特異的PTEN欠損マウスで主にIL-10を産生しているB1B細胞をセルソーターを用いて分離し、野生型マウスに経静脈的に投与する細胞移入実験を行なったところ、B細胞特異的PTEN欠損マウスでは皮膚の炎症所見が抑制された。以上から、脾臓、所属リンパ節で増加した制御性B細胞が、制御性T細胞への分化を促進させ、皮膚病変部のTh17細胞への分化を抑制することでIL-23誘導性皮膚炎を抑制していることが明らかになり、制御性B細胞が乾癬の病態において重要な役割を担っている可能性が示された。
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