研究課題
若手研究
ヒトに感染する主要な真菌であるカンジダは、白血球によって排除されることが知られている。しかし、KID症候群では、白血球の機能に関わると考えにくいGJB2遺伝子に変異があるにも関わらず、慢性皮膚カンジダ症を合併し、その原因は不明である。本研究では、KID症候群患者の皮膚カンジダ症の治癒後に出現した体細胞変異という珍しい現象の解析と、KID症候群モデルマウスを用いた実験を行った。その結果、皮膚角化細胞におけるGJB2変異が、カンジダに感染しやすい原因であることが明らかになった。
皮膚科学
カンジダは高齢者や免疫力の低下した人に重篤な日和見感染を起こす真菌であり、皮膚は人体への侵入門戸の一つである。これまで白血球の機能に注目した研究が蓄積されてきたが、上皮細胞の関わりを直接示すヒトの疾患はなかった。本研究で解析した体細胞変異は、皮膚角化細胞がカンジダへの抵抗力に関わる可能性を強く示唆するものである。皮膚に限らず上皮細胞の働きに着目した、カンジダ感染症の予防・治療法の開発につながる可能性がある。