研究課題
一般的に皮膚疾患においてぬくもると痒みが増強することは知られている。皮膚の真皮線維芽細胞から誘導される神経栄養因子アーテミンが熱過敏を引き起こし、かゆみを生じる皮膚疾患においてかゆみ過敏を生じていることを、指導教官室田は以前報告した。アーテミンを注射されたマウスを熱刺激させマンガン造影MRIで脳を撮像すると、扁桃体および視床下部の領域が増強されることを確認した。アーテミン中和抗体を注射したマウスではこの脳の活性が減弱したことも確認できた。しかし2020年は新型コロナウイルス蔓延のため、小動物MRI撮像が可能な大阪大学に赴くことができず、予定していた治療薬を投与したマウス脳の撮像ができなかった。そのため次の検証を進めた。痒みの強い皮膚疾患である痒疹、アトピー性皮膚炎、健常人それぞれの皮膚組織においてアーテミンの免疫染色を行い比較すると、表皮におけるアーテミンの染色が痒疹ではより強く認められた。またELISA法を用いて痒疹、アトピー性皮膚炎、健常人それぞれのヒト血清中のアーテミンを定量的測定し比較したところ、やはり痒疹においてアーテミンの高い値が確認された。以上のことからアーテミンは、痒疹においてぬくもると痒くなる原因物質となっていることが示唆された。今後は症例数を増やし、さらに別の皮膚疾患を対象としたアーテミンの発現・関与についても比較検討を行う予定である。
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The Journal of Dermatology
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