Stevens-Johnson症候群(SJS)および中毒性壊死症(TEN)におけるγ-chainの発現を確認するために、まず患者血清を用いてγ-chain subunit値はELISA測定した。血清γ-chain subunit値は、健常人コントロール群および播種状紅斑丘疹型・多形紅斑型薬疹と比較してSJS/TEN患者で有意に高く、特に重症なTEN患者で高値であった。臨床的特徴と血清γ-chain subunit値の解析では、SJS/TENの表皮剥離面積、入院期間、重症な粘膜障害といった重症度と血清γ-chain subunit値が相関することが明らかとなった。SJS/TENの後遺症・死亡といった予後不良群では、予後良好例と比較してγ-chain subunit値が有意に高値であった。また、皮疹の改善に伴い血清γ-chain subunit値も低下することから重症度や病勢のバイオマーカーとして有用な可能性が示唆された。SJS/TENの他のバイオマーカーとして知られている血清グラニュライシンと血清γ-chainの関連を検討したところ、正の相関がみられた。SJS/TEN患者の皮膚組織においても、健常人と比較してSJS/TEN患者の表皮ではγ-chain subunitが有意に強く発現していることが明らかとなった。さらに、TEN患者における血清と水疱内容液中のγ-chain濃度を比較したところ、有意に水疱内容液で高値であることが明らかとなった。in vitroの研究として、プライマリーケラチノサイトを用いて、γ-chain subunitおよびIL-2ファミリーサイトカインの共刺激実験を含むγ-chain subunitの機能実験を行い、アポトーシス因子の発現や細胞増殖能への作用を確認できた。
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