重症薬疹の病態におけるγ-chain の役割

2022 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19K17779
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分53050:皮膚科学関連
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 渡邉 裕子 (國見裕子) 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10567605)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 重症薬疹 / アレルギー / バイオマーカー / Stevens-Johnson 症候群 / 中毒性表皮壊死症

研究成果の概要

Stevens-Johnson症候群(SJS)および中毒性壊死症(TEN)におけるγ-chain subunitの発現について検討した。発症早期のSJS/TEN患者における血清γ-chainは、通常の薬疹群と比較して有意に高く、回復期に低下した。また、血清γ-chainは、SJS/TENの重症度、後遺症、死亡と関連がみられた。SJS/TENの水疱内容液は血清と比較してよりγ-chain濃度が高く、またSJS/TEN患者の表皮細胞の発現が増強がみられた。表皮角化細胞を用いた実験にて、可溶性γ-chainは細胞増殖能、アポトーシス誘導因子に関与することが示唆された。

自由記述の分野

皮膚科

研究成果の学術的意義や社会的意義

SJS/TENは重篤で急速進行性で致死的な皮膚粘膜疾患であるが、診断、病勢、予後を予測するバイオマーカーは確立していない。本研究によって、血清γ-chain値は病勢、予後を反映することが示され、新たなバイオマーカー候補としての可能性が示唆された。今後はさらに、SJS/TENの病態への関与について研究を行い、治療標的としての可能性を検討する。