研究実績の概要 |
血管肉腫 に対する化学療法の第2選択薬候補としてVEGFR阻害薬であるパゾパニブが第III相国際共同臨床試験のPALETTE試験 (Graaf et al. Lancet. 379:1879-1886, 2012)の結果に基づき進行性悪性軟部腫瘍に対して保険承認され、血管肉腫においても使用可能となった。しかし、このPALETTE試験で検討された血管肉腫は数例のみであり、その効果は不明である。 当科では、ヒト血管肉腫細胞株ISO-HAS(Masuzawa et al. Int J Cancer. 81:305-8,1999)を樹立して おり、この細胞がVEGFレセプター(VEGFR)発現することを確認している(Amo et al. Arch Dermatol Res.293:296- 301,2001)。しかし 血管肉腫マウスモデルにおいては、VEGFR阻害薬、抗VEGF抗体による腫瘍増殖抑制効果はみられず、in vitroにおいても同様の結果であったと報告されており(Hoshina et al. J. of Dermatol Sci.70:116-122, 2013)、血管肉腫におけるVEGFR阻害薬の効果は基礎研究において実証が重要である。 2019年度の研究成果として、ヒト血管肉腫マウスモデル(NOD/SCIDマウスにヒト血管肉腫細胞WB-SCIDを皮下移植)およびマウス血管肉腫モデル(BALB/cマウスにマウス血管肉腫細胞ISOS-1を皮下移植)におけるVEGFR阻害薬の腫瘍抑制効果についての検証した結果、VEGFR阻害薬投与群と基剤投与の陰性コントロール群と比較し腫瘍細胞の増殖抑制が認められた。
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