研究課題
2019年度は、臨床研究に用いる1BS-18ホクシン小麦の確保を行うため、中山間地域研究センターおよび県内の協力者に依頼して、厳密な隔離環境下での研究用小麦の栽培および収穫を行った。収穫した小麦について、赤かび病の影響、グルテンの性質(粘弾性)、抗原性に関する評価を行い、臨床研究に用いる1BS-18ホクシンパンの供給を確保した。2019年度産の1BS-18ホクシン小麦について、赤かび病の感染により生じるデオキシニバレノール(汚染原因菌 F. graminearumのカビ毒評価)ニバレノール(汚染原因菌 F. asiaticumあるいはF. kyushuenseのカビ毒評価)の測定を行い、基準値を大幅に下回ることを確認した。2019年度産の1BS-18ホクシン小麦粉を用いて、パンのふくらみに影響する粘弾性の確認を行い、2019年度産の1BS-18ホクシンのグルテンは他の年度と比較しても粘弾性が高く製パン特性が高いことが示された。製パン試験においても、1BS-18ホクシンパンの製パン性が良いことが示された。なお、パンのふくらみに影響するグルテンの性質が気候条件の影響を受けて年度ごとに異なるものの、安定的な膨らみは維持されていた。気候条件によりグルテンの粘弾性が変化したり、梅雨時期の穂発芽の影響により澱粉質の変化が生じたりすることが課題である。2019年度産の1BS-18ホクシン小麦について、ウエスタンブロット法を用いて抗原性を確認し、これまでと同様に、小麦アレルギーの主要抗原であるω-5グリアジンが含まれていないことを確認した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で行う臨床試験は、1BS-18ホクシン小麦の安定的な確保が無ければ成立しない。安定的な1BS-18ホクシンの生産に対してより強力な体制確保が課題である。
当初の計画から変更が生じる場合は、臨機応変に対応していく。
2019年度に予定していた消耗品類を他の財源で賄ったため、次年度使用額が生じた。2020年度は、2019年度の残額も含めて消耗品類の購入を予定している。
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Allergol Int.
巻: 69 ページ: 284-286
10.1016/j.alit.2019.09.006