乾燥は皮膚バリアを障害し、皮脂欠乏性皮膚炎の発症やアトピー性皮膚炎の増悪を引き起こすことが知られている。本研究は、乾燥状態のヒト角化細胞に与える影響、乾燥に伴って生じる疾患の病態解析、治療方法の検討のため、より正常皮膚に近い三次元構造を構築したヒト皮膚角化細胞の乾燥モデルを作成することを目的としている。 通常の三次元培養表皮を作成する過程では、装置内の環境は相対湿度100%の環境であり、乾燥刺激は通常の環境とは同一ではない。そのため、まず培養器内部の湿度を吸湿し、三次元培養表皮の接する空気の相対湿度を約30%に保つ機構を構築した。 この環境は絶対湿度換算では43g/m3程度の湿度を13g/m3程度まで低減したことに相当する。現在の環境では20℃気温で相対湿度75%程度の絶対湿度に相当する。 この環境で三次元培養表皮の刺激を行い、ワセリン、ヘパリン類似物質の塗布実験を行った。炎症性サイトカインの発現を検討している。乾燥環境を冬季の絶対湿度を想定した時に、最終的な絶対湿度の想定値を3~5g程度に定め、今後はさらに絶対湿度を低減し、より有効な乾燥培養環境の作成を継続して行う。
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