研究課題
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。ATLに対する治療薬として亜ヒ酸が注目されている。臨床試験において亜ヒ酸は、ATL患者に対して有効性を示したが、この亜ヒ酸感受性には個人差が見られた。従って、ATLへの臨床応用のためには、亜ヒ酸感受性を決める作用機序および感受性マーカー分子の同定が重要な課題である。申請者の所属研究室では、HTLV-1の癌蛋白Taxに結合する宿主因子として、MAGI-1(Membrane Associated Guanylate Kinase, WW And PDZ Domain Containing 1)を同定した。MAGI-1は癌抑制遺伝子PTEN(phosphatase and tensine homolog)と結合し、癌遺伝子AKTの活性化を抑制する。MAGI-1が、亜ヒ酸に対するATL細胞の感受性およびATLの発症において重要な役割を果たすことを明らかにする。HTLV-1のガン蛋白質Taxは、MAGI-1と結合しその機能を阻害する。いくつかのシグナル経路を解析したところ、TaxによるMAGI-1の機能阻害を評価する系を確立することができた。MAGI-1がROS産生に関わる予備データを得ていることから、ROSの関与の分子メカニズムを明らかにする。研究室で保有するATL細胞株についても、同様の解析を行う。
2: おおむね順調に進展している
HTLV-1ガン蛋白質Taxによる、MAGI-1の機能阻害を評価する系を確立できた。この系によって複数のシグナル経路の関与を見出すことができた。
HTLV-1ガン蛋白質TaxがMAGI-1の機能を阻害して、ROS産生を誘導することを明らかにする。TaxがMAGI-1の蛋白分解を誘導することを明らかにする。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Sci Rep.
巻: 9(1) ページ: 10591
10.1038/s41598-019-47033-7
Sci Rep
巻: 9(1) ページ: 12896.
10.1038/s41598-019-46237-1