自然リンパ球(以下ILC)は、各臓器において少数ながら、様々なサイトカイン等を駆使して臓器機能を制御している。本研究では、ILCの発生、分化の場所である骨髄でのILCを解析し、免疫や造血におけるILCの機能を検討した。骨髄中には、各種ILCのうち、ILC-2の前駆細胞であるILC-2Pが多く存在し、これらの細胞は放射線照射後にも残存し、造血幹細胞(すべての造血細胞の源となる細胞)の回復に先立って、一時的に増加することを見出した。これらの結果から、骨髄中のILC-2Pは、様々な造血ストレス(抗癌剤や放射線など)からの血液の回復期を何らかの機構で促進する作用を持つことが考えられた。
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