研究課題/領域番号 |
19K17832
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐藤 信也 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70763754)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 原爆被爆者 / 遺伝子変異解析 / CHIP |
研究実績の概要 |
近距離で被曝を受けた81名の臨床データを収集した。男女比は0.439、被爆時年齢の中央値は8歳(0-18)、被爆距離の中央値は0.9km(0.3-0.9)、48例で発熱、出血、下痢、脱毛などの急性期症状を認めた。 また、81名の近距離被爆者の末梢血から単核球をFicoll分離し、genomic DNAを抽出した(Qiagen:QIAamp DNA Blood Mini Kit)。抽出したgDNAのうち、1μgを用い、次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンス(Illumina HiSeq 2500)を行い、全症例の解析が終了した。Average depthは、Mean 206x、Median 208x(111x-282x)であり、十分なdepthを確保できた。Depth of coverageは1症例を除き、100xratioが0.8以上であり、Average depthの結果と合わせてシーケンスの質は良好であった。非被爆者の骨髄異形成症候群に高頻度でみられるdriver変異(SF3B1、TET2、DNMT3A、IDH1/2)は7例に認めた。コピー数異常については、81例中13例(16%)に認めた。現在、得られた変異に対し、バリデーション解析(Illumina MiSeq)を行っている。 また、コントロールサンプルとして、非被爆者20名についても末梢血の単核球からgDNAを抽出し、被爆者と同様のシーケンス解析を行った。臨床データの収集も完了しており、被爆者および非被爆者から得られた結果のバリデーション解析が終了次第、シーケンスデータ・臨床データを解析予定である。解析が終了次第、論文作成を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近距離で被曝を受けた81名について次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異解析およびコピー数解析が終了し、現在バリデーション解析を行っている。その際、より詳細な解析を行うため追加解析が必要になっている。本年度にその解析を行う予定であったが、十分な時間が確保できず、次年度に行う予定である。 また、コントロールサンプルとしての非被爆者20名においても、末梢血単核球検体での次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析が終了し、臨床データも収集済みである。 バリデーション解析が終了次第、被爆者・非被爆者のシーケンスデータ・臨床データを解析予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度はバリデーションによる遺伝子変異の決定を行う。 また、被爆者・非被爆者のシーケンスデータ・臨床データを解析し論文作成を行う予定である。特に推定被曝線量や被爆距離、被爆後の急性期症状の有無、心疾患や内分泌疾患・悪性腫瘍・血液疾患合併の有無と遺伝子変異の種類・数・染色体異常との関連について解析を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度、被爆者および被爆者の検体から得られた遺伝子変異のバリデーション解析結果をIllumina MiSeqを使用して開始したが、より詳細な解析を行うため追加解析が必要になった。本年度にその追加の解析も開始する予定であったが、十分な時間が確保できず、次年度に行う事になったため次年度使用額が生じた。
|