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2019 年度 実施状況報告書

造血器腫瘍治療における敗血症性ARDS/ALIの新たな治療戦略とバイオマーカー

研究課題

研究課題/領域番号 19K17837
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

古川 未希  福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80722537)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードARDS / Gas6 / Mer / 血管内細胞 / 敗血症
研究実績の概要

近年、造血器悪性腫瘍に対する新規抗癌剤及び同種造血幹細胞移植(HSCT)の進歩により、治療成績は向上している。しかしながら、治療が強度になれば骨髄抑制はより高度となり、敗血症等の重篤な感染症を発症しやすくなる。また、強力抗癌剤治療によって、多量の腫瘍細胞が短時間に崩壊することにより多臓器不全を呈する腫瘍崩壊症候群(TLS, tumor lysis syndrome)も問題となる。敗血症やTLSに併発する急性呼吸窮迫症候群(ARDS, acute respiratory distress syndrome)は、肺胞・毛細血管関門に生じる炎症性傷害により肺血管透過性亢進型の非心原性肺水腫を呈し、重篤な呼吸不全に至り、予後は不良である。ARDSの分子機序は未だ不明な点が多く、治療は確立されていない。ARDSの病態には、病原微生物由来の外因物質、死細胞や組織傷害により発生する成分やサイトカイン等によって誘導される肺血管内皮障害が重要な役割を担う。また、肺内皮障害が起因となる凝固・線溶調節機構の破綻もARDSの病態・進展に関与する。我々は受容体型チロシンキナーゼTAM(Tyro3, Axl, Mer)であるMerの選択的阻害剤が、lipopolysaccharide (LPS) 吸入で作成されたARDSマウスモデルの気管支肺胞洗浄液(BALF)の好中球及びマクロファー増加を抑制し、高度な肺障害を改善される興味深い結果を得た。本研究では、ARDSの病態における肺内皮障害、高サイトカイン血症、活性酸素種産生増加が関与するARDSの分子機序に、Gas6-Merシグナルが寄与することを明らかし、Gas6-MerシグナルがARDSの新規治療候補となることを証明する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していた内容はほぼ終了し、論文がほぼ完成しました。

今後の研究の推進方策

研究遂行に必要な分子生物学、生理学実験室は整備されている。細胞培養は複数の条件設が可能な培養装置、超遠心機、蛋白泳動装置、核酸増幅装置、フローサイトメーター、セルソーターは当講座で有している。実験動物研究施設を含む大学内設備も充実し、動物実験施設にも十分数の動物飼育室を確保し、遺伝子改変マウスの継代・維持も当大学の動物実験施設にて行える。形態学的解析では免疫組織化学的な評価に必要な凍結切片の作製が可能であり、蛍光染色標本の評価に必要な共焦点蛍光顕微鏡が完備されている。当科では多数の造血器悪性腫瘍患者の診療を行なっており、同種造血幹細胞移植は年間約30例施行している。また、関連施設からの協力を得ることができるため、ARDS症例の臨床データの解析は十分行える。研究成果は国内外の学会(日本血液学会、米国血液学会、ヨーロッパ血液学会等)に発表し、研究成果は国際的な学術雑誌に投稿する予定である。研究内容はわかりやすい表現で当講座のホームページ上に公開する予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験器具及び実験動物費用のため

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A critical role of the Gas6-Mer axis in endothelial dysfunction contributing to TA-TMA associated with GVHD2019

    • 著者名/発表者名
      Miki Furukawa, Xintao Wang, Hiroshi Ohkawara, Masahiko Fukatsu, Lobna Alkebsi, Hiroshi Takahashi, Kayo Harada-Shirado, Akiko Shichishima-Nakamura, Satoshi Kimura, Kazuei Ogawa, Takayuki Ikezoe
    • 雑誌名

      Blood Adv.

      巻: 3(14): ページ: 2128-2143

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] RDSの新規治療ターゲット:Gas6-Merシグナル2019

    • 著者名/発表者名
      古川未希, 王新涛, 大河原浩, 深津真彦, Alkebsi Lobna, 小川一英, 池添隆之.
    • 学会等名
      第81回 日本血液学会学術集会 (2019.10.11-10.13, 東京)
  • [学会発表] Gas6/Mer を目的とした新規ARDS治療法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      深津真彦
    • 学会等名
      日本血液学会東北地方会主催 血液学シンポジウム (2019.9.28, 青森)

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公開日: 2021-01-27  

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