1.VWF A1阻害薬のbinding siteの同定 前年度にタンパク発現した野生型および変異型VWF A1タンパクを用いて、VWF A1阻害薬であるTAGX-0004、ARC1779、Caplacizumabのそれぞれのbinding siteの同定を行った。 TAGX-0004ではF1366、R1395、R1399が、ARC1779ではR1287、K1362 、R1392、R1395、R1399がCaplacizumabではK1362 、R1392、R1395、R1399、K1406がbinding siteであると推測した。TAGX-0004に対するVWF A1ドメイン結合部位であるF1366は芳香族アミノ酸残基であり、疎水性を示すことから、TAGX-0004に含まれる疎水性のDs基との間でスタッキング効果による親和性向上に寄与していると予想された。 前年度のin vitroでのVWF A1阻害薬のVWF機能抑制効果検討と併せて、TAGX-0004は新規治療薬であるCaplacizumabに劣らない優れたVWF機能阻害効果があり、DNAアプタマーのもつ利点(生化学合成が可能、免疫原性が乏しい、中和剤の開発が可能)から今後開発が進めば、Caplacizumabに取って代わる可能性がある。
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